とある内科医の医学勉強帳

感染症医、総合内科医の忘備録

診断学

PFAPA症候群~繰り返す発熱、咽頭扁桃炎~

症状 病因 検査 診断 治療 予後 参考文献 概要 PFAPA症候群:Periodic fever with aphthous stomatitis, pharyngitis, and adenitis syndrome 発熱、アフタ性口内炎、咽頭炎、頸部リンパ節炎を主徴とし、典型的には5歳までに発症する周期性発熱疾患の1つ 周…

MERS: clinically mild encephalitis/encephalopathy with a reversible splenial lesion  可逆性の脳梁膨大部病変を伴う軽症脳炎/脳症

感染症、電解質異常、血管炎などの膠原病の経過中に、意識障害を呈し、脳MRIで脳梁膨大部に限局した病変を認めることがあります。 その際は、「MERS: clinically mild encephalitis/encephalopathy with a reversible splenial lesion:可逆性の脳梁膨大部病…

恥骨結合炎と化膿性恥骨骨髄炎

内科学会雑誌の「今月の症例」で、化膿性恥骨骨髄炎がありました。 (ラグビー選手に発症した化膿性恥骨骨髄炎の1例 日内会誌 2018; 107: 2518-2523) そこから学んだことは、 「若年運動選手の発熱を伴った鼠径部痛、恥骨部痛は、化膿性恥骨骨髄炎を疑う!…

アシクロビル脳症

ポイント: 「帯状疱疹、ヘルペスウイルス感染症治療中に生じた意識障害、精神神経症状を見た場合は、ウイルス性脳炎とアシクロビル脳症の鑑別を!」 アシクロビル脳症とは? 抗へルペス薬のアシクロビルは中枢神経系への移行が良好であり、その脳脊髄液中濃…

髄膜炎を疑う身体所見(髄膜刺激徴候)

・項部硬直 ・Kernig徴候(ケルニッヒ) ・Brudzinski徴候(ブルジンスキー) 上記はいずれも、刺激状態にあるくも膜下腔を貫通している脊髄神経を伸展させる動きへの自然発生的な拒否反応である。髄膜炎の他、クモ膜下出血でもみられる。 項部硬直 項部硬直…

巨舌の鑑別

巨舌(macroglossia) 定義:安静時の舌が歯、もしくは歯槽堤を超えて出ている状態 分類: true macroglossia:舌に組織学的変化あり ・primary macroglossia:舌自体に問題があり、正常構造が肥大や過形成で大きくなる ・secondary macroglossia:異常構造…

fast edemaとslow edema~下腿浮腫の鑑別~

下腿浮腫の鑑別を考える時、fast edemaとslow edemaの概念が役に立つ時があります。 fast edemaを起こす代表的な病態がネフローゼ症候群です。 両下肢はテカテカと光沢があり、圧迫してもあっという間に圧痕が消えていきます。 これに対し、うっ血性心不全に…