とある内科医の医学勉強帳

感染症医、総合内科医の忘備録

ミオスタチン(myostatin)とは

ミオスタチン(myostatin)は、TGF-βスーパーファミリーに属する26kDaの糖蛋白であり、主に骨格筋で合成され、骨格筋の増殖を抑制する

myostatin遺伝子を欠失した牛は、「Belgian Blue Cattle」と呼ばれ、普通の牛の2~3倍の量の筋肉を持つ牛として、ヨーロッパでは以前から知られていた。

また、ヒトにおいても、生まれつき筋肉が異常に発達した小児が報告されている。

 

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myostatin発現レベルの低下は筋肉量の増加と体脂肪の減少、発現量の上昇は筋肉量の減少・消耗をもたらす。

有酸素運動によってmyostatin濃度は低下する。

 

運動不足によるインスリン抵抗性にも関与している。

HIV患者や高齢者のサルコペニア発症と関連している。

肝硬変患者においてmyostatin濃度は血中NH3と正の相関、BCAA濃度と負の相関を示す。

 

筋ジストロフィーなどへの治療応用に関して研究されている。

 

 

(参考文献)

Myostatin Mutation Associated with Gross Muscle Hypertrophy in a Child  Markus Schuelke et al.  N Engl J Med 2004; 350: 2682-2688

サルコペニアの科学と臨床 4)肝疾患とサルコペニア 西口修平ら 日内会誌 2018; 107: 1713-1717